料理人の休日

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カテゴリ:考えたこと、想うこと( 17 )

変わり続ける

「大変」とは「大きく変わる」ということだと昔、先輩から教わったことがある。
確かに、変わろうとすると同時に不安や恐怖が心を襲うから、それを乗り越えるのは大変なこと。
多分、この不安や恐怖はどうなるか「分からない」ことから起こるのだろう。「分からない」ことは怖いものだ。
それでも変わり続けることが成長するということだと思う。

ある本にこう書いてあった。
変化に対して起こる不安や恐怖は、自分という存在を、時間を超えて一定に保つことで、自己崩壊しないようにする作用、すなわち「自己の維持」という本能が人間にはあると。

成長とは本能との戦いなのか?

そこで思い出したのが、「我思う、ゆえに我あり」で有名なフランスの哲学者、ルネ・デカルトの言葉。

「困難は分割せよ―de diviser chacune des difficultés―」

もし変わることで何かの困難にぶつかったら、その問題を細かく切り分けて考えれば、大抵の困難は乗り越えられる。
だから、何にもしないうちから、失敗するかもとか誰かに批判されるかもとか、あまり深く考えない方がいい。

やっぱり行き着くところは、やるべきこと、信じることを「やるしかない」のだ。
最悪のことなんてほとんど起こらないのだから。

勝又シェフからこのことを学んだ。
というより、若い頃叩き込まれた。
写真はオーミラドーの厨房に掲げてある「やるしかない」

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by le-tomo | 2018-12-05 12:13 | 考えたこと、想うこと

イノベーション

イノベーションというと思い浮かぶのはAmazonやApple。
もちろん他にもたくさんイノベーションを起こした企業はあるだろうけど、僕はこの2つの企業は特に好きだ。

最近では(フランス)料理界でもイノベーティブというカテゴリーがあるくらい、イノベーションという言葉があちこちで飛び交ってる。


新しいアイディアとか新しい技術の開発をイノベーションと呼ぶ人もいるみたいだけど、世の中を素敵に変えてしまうほどでないとイノベーションとは呼べないのではないだろうか。
ただ、イノベーションが起こるとその結果、今までのものはいらなくなってしまうことも多々あるから、そういうのを「創造的破壊」というらしい。
AirbnbとかUberなんて既存のビジネスを壊しかねないよね。



もちろん、僕はイノベーションを起こすような器でもないし、僕の料理はイノベーティブと呼ばれるものではないけど、パートナーの仕事柄、本当にイノベーションを起こした人たちの話をよく聞くことがあるせいかすごく興味のある話題だ。

僕は、本当は何になりたいのか?何をしたいのか?と考えることが多くなった。
何が出来るのかでなく、何をやり遂げたいのか。
世の中にイノベーションを起こすことは出来ないけど自分自身に対してプチ(ミクロ?ナノ?)イノベーションくらい起こせないかなと。(それってただの精神論になっちゃうかもだけどね 笑)
そんなことを日々考え行動することは、たくさんの苦しみもあるけど、なんだか楽しいよ。


生きてる感じがして。
さて、自分自身の何かを創造的破壊してみようか。


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by le-tomo | 2018-05-22 17:59 | 考えたこと、想うこと

拒絶を受け入れる

何かを成し遂げようとする限り必ず反対や拒絶はあるよね。
成し遂げようとすることが大きければ大きいほど拒絶の数も多くなると思う。
そもそも何かを提案すると言うことは反対や拒絶されるリスクを伴うしね。
だったら反対や拒絶自体をを受け入れてしまえばいいのではないだろうか。いや思い切って喜んじゃおう。
だいたい、みんなが賛成するようなことって大した成功に繋がらないことが多いから。


ただ、自分に自信がなかったり、自分自身をネガティブに捉えていると、とても拒絶に立ち向かう力も受け入れる力もない。


だから、拒絶を受け入れるために自己暗示をかけておくのはどうだろう。
「俺は出来る。俺はすごい。」って、言葉に出してね。
(道端で人に聞かれるとみんな避けて通るだろうね。怪しいもんね。笑)
そして、さらに「俺は失敗が好き!」って言ってみよう。


感情は人を支配すると言うけど、言葉はその感情をも支配する力があるのではないだろうか。
と、最近思うのである。


さあ、拒絶を集めに外へ出よう!

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by le-tomo | 2018-04-20 09:00 | 考えたこと、想うこと

Fail Fast

何かをやろうとするとき何か一つでもリスクがあると、

それがちっちゃなことでもブレーキがかかってなかなか始められない。
なかなか始められないだけならまだしも、

いつのまにかやらないことになってることも多々ある。
多くの人は出来ない理由を見つけることが得意だから。
こういうのは思考の癖のように思う。


僕らの取り巻く環境がこんなにめまぐるしく変わる時代に、

何もせずにそこに留まるということは後退してるのと同じだと思うのだが。
時代は容赦無く前に進んでるのに。

Fail Fast(早く失敗しろ)

シリコンバレーの成功者はこう言ってるとパートナーから教えてもらった。

リスクのない安全パイを切るよりも、面白いことやって早く失敗してしまえば、

損も少なくて済み、何より次の成功が大きなものになるということ。

日本でも「失敗は成功のもと」ってことわざあるよね。


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by le-tomo | 2017-09-07 22:31 | 考えたこと、想うこと

モチベーション

「モチベーション」

これ大事だよね。
経営者はもちろん、店長とかマネージャーとかいう立場の人たち、いわゆるリーダーはみんな、スタッフ(部下)のモチベーションを上げることに一生懸命。
そのため、スタッフにすごく気を使ってるリーダーは多いんじゃないだろうか。
「辞められたら困る」からって、いつの間にかスタッフの言いなりになってたりね。
さらに言うと、リーダーが根性論を用いて「モチベーション上げろ!」と言うのもおかしな話。
そういうお店に限ってスタッフのモチベーションは低い気がする。
でも、僕の経験上、そうやってスタッフのモチベーションを上げることが目的になってるお店はうまくいかない。
リーダーの本当の目的はスタッフのモチベーションを上げることではなく、成果を挙げることのはず。だから、例えスタッフのモチベーションが低くても一定の成果を挙げる責任があると思う。
そもそもモチベーションって「上げる」のではなく「上がる」もの。
だから、リーダーがやるべきことはスタッフのモチベーションが上がる環境や仕組みを作ること。
決して、他人のモチベーションを無理くり上げようなんて思わない方がいい。


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by le-tomo | 2017-09-01 23:06 | 考えたこと、想うこと

「一人の生活を変えられたら、世界は変わる」

飲食店って事業だと思うんだけど、
事業になってないオーナーが多いなって思う。

料理人の僕がこんなこと言うと反感買うかもしれないけど、
レストランのコンサルティングをしていると、
美味しい料理とホスピタリティーあるサービスについては
よく話題に出てきて素晴らしいと思う反面、
事業として経営を考えているオーナーは少ないような気がしてならない。

もちろん、経営者なんだから経営のことは考えてるよ、
って言うかもしれないけれど、それってお金の感情だけのことじゃない?
って思うことも多々ある。

まず、誰をお客様とするのか考えないと
戦略も立てられないのではって思ったりもする。

そして、そのお客様はいろんな人でない方がいい。
「この人」ってできるだけ的を祖母った方が人の心に刺さると思うんだけどな。
丸いよりも尖って方が刺さるじゃん。

イスラエルのことわざ↓

If you change one person's life,
You change the world.

「一人の生活を変えられたら、世界は変わる」

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by le-tomo | 2017-08-26 22:34 | 考えたこと、想うこと

Think different

1997年のApple社の広告スローガン

Think different

去年からこの言葉が(今更だが)ずっと頭に残っていて、
今年の年始のミーティングでスタッフ全員に話した。
ちょっと変わった視点、考え方で物事を見てみようと思い、
今年の僕たちのスローガンは「変わる」ことをテーマに店作りを進める。

とは言ってはみたものの、そう簡単に頭が柔らかく揉み解せる訳ではない。
カチカチに固まっている僕たちの頭は、すでに石と化している。
その石に、水をかけたり、熱を加えたり、はたまた手で揉んでみたり...

全然柔らかくならない。
なぜなら、石だから。

じゃあ、いっその事粉々に砕いてすり潰して、パウダー上にしてから、
水を加え、熱を加えたら、もしかして見た事も無い形になるかも。

という訳で、まずは姉妹店「アジルジョーヌ・テラス」で、
ブランチを始める事にした。
フレンチでブランチを提供してる所は聞いた事無いし、
(そもそもフランスにブランチという習慣が無いし)
ブランチと言えばエッグベネディクトとか言うのがちまたでは流行っている。
全くフレンチではないが作ってみることにした。
ほほう、ソースはオランデーズソースとなっている。
まさにこれは我々のソースではないか!

という訳で「アジルジョーヌ・テラス」では、
毎週土日祝日にブランチ営業を始めています。

まだまだ、私たちの石にはヒビすら入っていませんが、
これからもっといろんな事に挑戦し、
新しい価値観を作り上げるお店を目指していきたいと思います。




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by le-tomo | 2015-03-25 14:36 | 考えたこと、想うこと

フォアグラの波紋

ファミリーマートがフォアグラ弁当の販売を中止したことで、
僕のお店の一つ「フォアグラバル」に取材が殺到している。
フォアグラの飼育方法が残虐だということで波紋が広がっているから。

僕が使っているキャスタンのフォアグラは、放し飼いによる飼育方法で、
餌も人の手で丁寧に与えるという伝統的な方法なのだが、
中には機械で強制的に餌を与えるという近代的、
且つ工業的な飼育をしている粗悪な生産者もいるという事実に、
僕は、とても残念に思う。

フォアグラに限らず、家禽でも農産物でも、人の手で育てて食材にするということは、
少なからず、太らせて(大きく実らせて)美味しくするということになるだろう。
その方法が残虐かどうかという判断はとても難しく思う。
ただ、目を覆うような光景はやっぱり見たくないものだ。
改善できるならして欲しい。
それによって、価格が高くなっても仕方ないのではないのだろうか。

僕は、キャスタンさんを信じて、
むっちゃ高いけど(さらに2月から値上がりするけど)、
これからも、放し飼いの鴨のフォアグラを使うことにする。
(だからといって、その鴨たちが幸せなのかどうかまでは、僕には分らないが)

今の僕に、「だからといって」
フォアグラを使うのをやめるという選択肢は無い。


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by le-tomo | 2014-01-29 22:30 | 考えたこと、想うこと

フォアグラバルという構想

「バル」という言葉はスペイン語で「バー」の意味ですが、
日本では「バル」と「バー」とではイメージが違いますね。

「バー」とはワインバーやカクテルバーのように、
落ち着いた大人の雰囲気をかもし出していますが、
「バル」となるとカジュアルで楽しい感じがします。
気軽に、美味しいワインと酒の肴が楽しめるのが「バル」ではないでしょうか。

僕はフォアグラ料理をスペシャリテにしています。
おかげさまで、ほとんどのお客様が、
「魔法のフォアグラ」と呼ばれる、僕のフォアグラ料理を目当てに、
エルブランシュにご来店いただいています。

僕のフォアグラ料理のバリエーションを、
もっとカジュアルに楽しめたらなあ...。

そこで思いついたのが「フォアグラバル」というスタイル。
フォアグラ料理を中心にワインが気軽に楽しめるバルスタイルのフォアグラ屋。
クオリティを落とさずに価格はカジュアルに。
カジュアルでハイクオリティなお店です。

フォアグラのテリーヌ、フォアグラバターのブルスケッタ、フォアグラのコロッケ、
フォアグラのパテ、フォアグラのリゾット、ロッシーニなどなど。
もちろん、その他にもタパスメニューやシャルキュトリー、お肉料理もあります。

美味しいフォアグラと美味しいワイン。

ちょっと贅沢な気分で楽しく飲めるお店です。

なんて、構想しながら...。
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by le-tomo | 2013-06-01 13:30 | 考えたこと、想うこと

愛されたマダム。

あれから10年…

10年前の今日、思いがけないことが起こったのです。
平塚にある、僕の大好きなレストランのマダムが48歳の若さで亡くなりました。
4年もの間、彼女は癌と闘っていたなんて...。
僕は全く知らなかった。
それもそのはず、彼女の病気のことは、
本人と夫であるシェフ以外に誰も知らなかったのだから。
それが彼女の気遣いでした。
お客様に気を使わせたくないという、彼女の愛でした。


マダムとの出会いは、
僕がまだ20歳そこそこの見習い料理人のとき。
箱根のレストラン「オー・ミラドー」で修行していたときのこと。
支配人の紹介で、平塚のレストラン「マリールイーズ」のシェフと知り合い、
数少ない休みのときや、仕事を終わったあとの真夜中に、
時々勉強のため働きにいっていました。
このレストランに、マダムはいました。
毎日、笑顔でお客様へ心をこめてサービスしている、
芯の強い、素敵なマダムでした。





ある日、仕事の後、みんなでワインを飲む機会があったときのこと。
僕は調子に乗って、グラスに赤ワインを並々注いで一気飲みしたことがありました。
下っ端の僕は、先輩もいるこの場を盛り上げようと思ってのことでした。

「パチン!」
僕の頬を、マダムのビンタが一発。

「あんたね、ワインをそんな飲み方するなら、
フランス料理なんてやめちまいな!」

僕は、恥ずかしくなった。

数日たって、僕は平塚に向かった。
「謝らなきゃ。」
レストランのドアを開けると、マダムはグラスを拭きながら僕の方を見た。
「あら何しに来たの?」
手ぶらの僕を見てさらに、
「まさか、コックコートも持ってこなかったんじゃないでしょうね。」
お客さんはもうみんな帰ったあと。
調理場ではシェフが鍋を洗っている。
「ボーっとしてないで、早く調理場片付けなさいよ。」
僕は、ちょっとほっとした。
「この前はすいませんでした。」
僕は、マダムに軽く頭を下げ、そのまま調理場に入って、
腕をまくって洗い物を始めた。

後片付けが終わり、お店を閉店した後、
マダムは赤ワインのボトルを持ってきて、コルクを抜いた。
そして僕の前にグラスを置き、その赤ワインをマダムは丁寧に注いだ。
すごく優しく、とても大事に。
赤ワインがグラスに注がれる「トクトクトク」という音がとても綺麗だった。



シェフに殴られ、マダムに怒られ。
未熟ゆえに、ほめられることなんてなかったけど。
でも、彼らの暖かさは僕の心に伝わっていた。
マダムはいつも、僕ら若い料理人のことを心配してくれていた。
お説教しながら、たくさんのことを教えてくれた。
そして、美味しいワインを飲ませてくれた。
だから、僕は一生懸命になれた。
疲れた身体に鞭打ってでも、若さゆえにできた無理。
それでも、今思うと楽しかった。
お金なんてもらわなかったけど、僕にはもっと大切な財産ができた。
「お客様を心から愛する」ということをマダムが教えてくれた。
よくただ働きなんてするよな、なんて言う仲間もいたけど、
その時、僕はお金より大事なものをもらってた。





マダムは、立てなくなるまでお店に出ていたそうです。
そして、病気のことは誰にも言わなかった。
どんなに体調が悪くても、いつも笑顔で接客していた。
誰にも気を使わせたくないと。

マダムは、みんなを愛し、そしてみんなに愛されていました。

マダム…、
今でも、見守ってくれている気がします。




10年前の今日、平成14年10月23日。
尾鷲愛子さんは、享年48歳の若さでこの世をさりました。
あれから10年。
マダムの愛は今でも、僕たちを包んでくれています。

ありがとうございます、マダム。




小川智寛
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by le-tomo | 2012-10-23 22:05 | 考えたこと、想うこと
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エルブランシュ(麻布十番)のオーナーシェフ


by tomohi
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