料理人の休日

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ロティの星 (その9)

肉は、短い眠りのあいだにも、
ひそかに自分自身をすばらしくおいしくしています、
そこにはまさに料理の神秘が息づいています。
料理人は、その神秘を眩しく見つめながら、
細心の注意を払い、経験を重ね、
ロティ(ロースト)技術を高め、
創造性をつちかってゆくことができます。




フランス料理の火入れのテクニックは、
ロティール、ポワレ、ソテー、グリエ、ブレゼ、ラグー、ミジョテ...
と十種類以上ありますが、
歴史的に見ると、すべてロティとラグー(煮込み)が
分岐し、個別に発展していったものです。
たとえば中世からルネサンスにかけて、
調理法の基本は、ロティとラグーだったようです。
料理書を眺めると、おもしろいことにいろいろ気がつきます、
たとえば中世からルネサンスの時期に、
大きな串に肉を刺し、水平に火にかざし、
肉を回転させながら焼いていたようです、
あれは見た目は派手で景気もいいですが
しかし現代の料理人にいわせれば、
ずいぶんもったいないことを・・・
とおもってしまいます。
なぜってせっかくのおいしい肉汁を全部、
落としながら焼いていたわけですから。




僕はけっして料理の歴史の専門家ではありませんが、
僕の考えでは、
〈近代フランス料理の調理法の発展は、
肉汁をいかに活かすか〉
からはじまったのではないか、とおもっています。
〈肉汁をいかに活かすか〉、
そこから(ちいさなオーヴンとして)フライパンが生まれ、
同時に(?)オーヴンも誕生します。
余談ながら、十九世紀初頭におけるソースの独立は、
ラグーからの分岐・独立・発展といえなくもありません。




ロティこそ、フランス料理の精髄。
厳しいクォリティ、その遥かなる高みを支える技術の背骨であり、
調理法の女王です。
僕の料理観は、
一にも二にもロティであり、三も四もロティ、
五番目がようやくポワレです。
(そもそもポワレは、ロティの親戚のようなものです)。




しかもロティには無限の創造性がひそんでいます。




つづく
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by le-tomo | 2008-10-18 02:23 | ロティの星
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エルブランシュ(麻布十番)のオーナーシェフ


by tomohi
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