料理人の休日

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ロティの星 (その3)

僕がようやくロティ道(ロースト道)の
最初の一歩を踏み出したのは、
京都のお店に移って、ストーヴ前(ガスレンジ前)に
立つようになり、
実際、毎日、自分で魚や肉を焼くようになってからです。
鴨や仔羊を、実際にロティするポジションにたって、
シェフから怒られながらも、なんとか、
お客様に出せるロティができるようになりました。
そのとき、僕は理解し、
その技術をある程度、自分のものにしていました、
そう、〈肉を休ませ、余熱を利用し、おいしく焼きあげること〉
そのすべてのプロセスをコントロールすることを。




おもえばその頃には、いつしか
ポワレ、ソテー、グリエ、ブレゼ、ラグー、ミジョテ…など、
調理法全般もいちおう身につけていました、
シェフに蹴られ、殴られ、ときには涙を流しながら。

そうなんです、いつしか、
僕は、ロティという調理法を意識しつづけているうちに、
その他の調理法も、身についていたのです。
それは、とても不思議なことのように思いました。

なぜだろう...。




僕はあることに気づきました。。
ロティのときの、食材に火が入るイメージを、
いつの間にか、無意識でなんとなくイメージしていたことを。
そして、その他の調理法でも、
そのイメージがあったからこそ、
(まだ未熟ながらも)習得できたのではないか、
そう思ったのです。

もしも僕が最高ロティ、完璧なロティをマスターしたときには、
そのときには僕のほかの調理法のレベルも
おのずと自動的に上がってるんじゃないか。
二十歳のときの直感は、間違っていなかったんだ、
と、おもいました。

そう、あの日、僕が、
アピシウスの高橋徳男シェフの
「吉野鴨のロティ、サルミソース」と出会って、
ロティにレストランフランス料理の技術のエッセンスを感じ、
なんとしてでも完璧なロティを会得することを決意した
そんな自分の直感はけっして間違っていなかった、と。


「イメージ...」

あのときの、高橋徳男シェフの言葉を思い出しました。


そうです、
食材に火が入っていく様子をイメージする。
まずは、なんとなく、無意識でしているこのぼんやりしたイメージを、
もっと、はっきりと、明確にすることが、
理想のロティへの近道。
そのとき、僕はそう思いました。
いえ、そう決めたといっていいでしょう。



しかし、僕のロティ道はまだはじまったばかりでした。
完璧なロティの会得がどれほど緻密で、
しかも創造性の余地があり、
多彩なアプローチがあり、
それゆえ料理人にとって無限におもしろいものであること、
それをおもい知ったのは、
フランスにわたってからのことでした。
そう、フランスで僕はおもい知ることになります、
きょくたんに言えば料理人の数だけ異なったロティがあり、
ものすごく技術差、能力差が現われる領域であるとともに、
ロティには、創造性や、直観力さえ要求されることを。




つづく
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by le-tomo | 2008-09-06 12:24 | ロティの星
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エルブランシュ(麻布十番)のオーナーシェフ


by tomohi
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