世界でいちばんおいしいごちそうって、なんだろう? その14
彼女はお連れの方と一緒に、
いつものようににこやかな笑顔で、
ていねいに、まず「よろしくお願いします」
とお辞儀をしました。
スタッフは、おふたりを準備しておいたカウンター席に
ご案内しました。
僕もご挨拶です、「よろしくお願いします」、
まず、今日のコースをご説明しました。
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「彼女のためのフルコース、オートクチュールのように」
<アミューズ・ブーシュ>
愛媛産の車海老に包まれた、極上キャビア、サワークリーム添え
<一皿目のオードブル>
ビュルゴー家の誇るシャラン鴨のエギュイエットのカルパッチョ仕立て、
グレープフルーツのドレッシングソースのルッコラのサラダを添えて
<二皿目のオードブル>
スペシャリテ、
フレッシュフォワグラのポワレ、シェリーヴィネガーソース、
苺のソテーと共に
<魚料理>
ウロコとともにポワレした越前産グジ、
野菜のミジョテ、そのジュとバジルのピストーソース
<肉料理>
柳生さんの育てた生後二ヶ月の乳飲み仔羊のロティ、
ジロル茸のソテーとサマートリュフの香り、
シンプルな仔羊のジュに赤ワイン風味をつけたソースで
<アヴァン・デセール>
定番、
アールグレイのクレーム・ブュルレ
<グランデセール>
ココナッツのジュレとパイナップルのソルベ、
熱々のパイナップルのソテーをかけて
僕の説明を、おふたりは聞いておられます、
彼女の目の輝きには、彼女の好奇心と、
きょうの日への情熱が感じられます。
僕も、手ごたえを感じます。
つづく