料理人の休日

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世界でいちばんおいしいごちそうって、なんだろう? その10

僕が最高の食材を求めて出会った柳生さんの仔羊に、
彼女は、もちろんおいしさも重要ながら、
柳生さんというひとりの人間の、
工夫と努力とそしてその柳生さんの世界に
惹かれ、支持し、だからこそ、
「わたし、北海道に行くときは、
ぜったい柳生さんに会いに行きます」
とおっしゃるのだと思います。
僕も彼女の言葉によって、
いつしか柳生さんの世界を『大草原の小さな家』のような
人間ドラマとして感じるようになりました。





そうだ、彼女にもう一度あの仔羊を食べてもらおう。
そして今回は、僕のイメージする彼女のために、
あの仔羊を最高の料理にしよう。
僕は、翌日、業者に電話をしました。
事情を話し、仔羊を送ってもらえるようお願いしました。
担当者は、
「分かりました、お返事は明日まで待ってください、
でも、小川シェフの頼みです、できるだけなんとかしましょう。」
(柳生さんの仔羊はまだまだ生産量が少なく、
いつでも必ず手に入るわけではありません)。




返事は翌日、なんとか入手できるといいのですが、
しかしまだ確実ではありません、
もしも、だめならば、次の選択を考えなくてはいけないけれど、
もはや僕には代案は思い浮かびません。
もはや僕には、今回のメインは、
柳生さんの仔羊以外は
なにも考えられなくなっていました。
僕はただ、業者からの連絡を待ちました。



お昼過ぎに、僕の携帯に電話がありました。
「小川シェフ、昨日いただいた仔羊の注文の件、大丈夫です。
でも、前回と同じものではありません。」
「えっ! どうちがうんですか?」
僕のよろこびは、瞬時に不安に変わりました、
僕が急な無理なお願いしたため、
もしかしたら最良のものが手に入らないのだろうか。
それではなんの意味もありません、
今回の注文は白紙に戻すだけです。
しかし、担当者は、そんな僕の心の動きを見透かすように、
少し興奮気味に、話を続けます、
「柳生さんがですね、今回、
生後二ヶ月の仔羊を一頭だけ出荷してくれるって言ってます。
どうです、小川シェフ、完全な、乳飲み仔羊ですよ!
ただし少々値は張りますけど。小川シェフ、どうします?」



もちろん僕は即答しました。
「もちろん、買います。(僕が買わないわけがありません)。
いつ納品できますか?」




つづく
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by le-tomo | 2008-07-15 04:43 | 世界でいちばんおいしいごちそう
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エルブランシュ(麻布十番)のオーナーシェフ


by tomohi
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