料理人の休日

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世界でいちばんおいしごちそうって、なんだろう? その6

僕は考えました、
もしも極上食材コース14,700円(税込み)以上のお値段をいただいて、
料理をつくるとしたら、どんな料理が可能だろう?
逆にいえば、いま、僕は、
どんな食材をあきらめているだろう?
(実はほんとのことを言えば、
僕としては、あきらめている食材はそれほどありません、
なぜって、極上食事コース14,700円(税込み)は僕のイメージする
世界でいちばんのごちそうなんですから。
ただし、そんな僕だって、
厳密に言えば、あきらめている食材は、
あることはあるんです。)






たしかに僕のイメージする世界でいちばんのごちそう
極上食材コース14,700円(税込み)でも、
つかえない食材もいろいろあることはあります。
たとえばブルトン・オマールは、一匹8,000円します、
(つかえるものならつかいたいけれど、
なかなかそうもゆきません)。
それからまたトリュフやキャビア、
もっとも料理の主役ではなく、魅力的な脇役ですから、
活かし方次第なんですが・・・。



松阪牛、神戸牛も高いですね、
(もっとも僕はフランス料理をつくってますから、
誘惑はされませんが)、
伊勢海老は一匹8,000円から10,000円くらいしますし、
マグロも高いなぁ、
越前蟹なんて一匹30,000円、そのうえ初物だと100,000円も!??




(僕はべつに、それらの超高額食材に、
それほどすごく誘惑されることはありません。
なぜって、エルブランシュのシャラン鴨のコースと
極上食材コ-スで、自分がイメージする
最高のフランス料理をお出ししているのですから。



そもそも、
べつに値段に正比例して美味しさが増すということはありません。
たとえば一尾、三万円の天然とら河豚のソテーが、
一尾、一万円の天然で一本釣りの真鯛のソテーの
三倍美味しいとは限らない。
一尾、八千円以上のブルターニュ産オマール海老や伊勢海老..1kg、30万円の黒トリュフより、
原木で育てた、身の分厚い、
一個100円のしいたけの方が料理によっては美味しいことだって
じゅうぶんある、そういうものなんです。
たとえば黒トリュフは1kg、30万円以上、
キャビアは100g、2万円以上、
でも、そんなのつかわなくても
僕の極上食材コースはじゅうぶん成り立ちます。
(でも、だからといって僕は、
けっしてトリュフやキャビアを憎んでるわけではなく、
ただ原価計算の関係でやや疎遠になっているだけです。
僕も理解しています、
1kg、30万円の黒トリュフだって、
メインになる食材に、脇役として、そっと香りを添えるためだったら、
その料理がぐっとおいしくなるんです。)





そういえばエルブランシュの常連さんで、
上野にある老舗の和菓子屋さんの一族の方がいらっしゃって、
うちにお越しになるたびに、
お土産にどら焼きを持ってきてくださいます。
そのどら焼きのすばらしいこと!
十勝産の最上級の小豆を使った、上品で、ほどよい食感のあんこを、
ふっくらとしていますが、さくっとした歯ごたえもある、
ハチミツの香りと、甘さをやさしく含んだ生地で包み込み
噛んだ瞬間から飲み込むまで、甘さと香りが、
ここちよく、口の中に広がるような、このどら焼き。
なんと、このすばらしいどら焼きが、1個、180円。
なんて良心的な(利幅の薄い)値つけだろうとびっくりします、
逆にえいば、ファンの多さがよくよくわかります。
(考えてみれば、スーパーで見かける、
大量生産のどら焼きだって、1個、120円くらいします。
甘いだけのあんことふわふわなだけの生地でできている
そんなどら焼きで・・・、
天と地ほどの違いがありますが、
それでも、その差はたったの60円なんです)







考えてみれば、物の値段の根拠はいろいろです、
なぜって価格は、売り手と買い手の思惑で決まってゆくことですから。
食材にかぎっても、
そもそも食材の値段の根拠は、
食材ごとにさまざまで、いろいろです、
「おいしいから」「手間がかかっているから(=経費がかかっているから)」
「作り手の顔が見えているから」「安全だから(=健康に良いから)」
そして「めずらしいから」・・・。



むろん売り手はどんな値段をつけるも自由です、
むろん買い手は欲しければ買い、嫌なら買わなければいいだけです。
たとえばうさぎやさんのどら焼きが180円で出せるのも、
うさぎやさんのどら焼きを愛するお客様が
たくさんいらっしゃるからでしょう。




さて、僕はいったい極上食材コース以上の
お値段をいただいて、
しかも「予算は関係なく」で
どんな料理をつくることができるだろう?




僕はそのときおもいました、
もしかしてこれは、
これまでとは違った考え方で料理について考えてみる、
タイミングかもしれないな。
たしかに、世界でいちばんおいしいごちそうは、
料理人が決めることではなく、
お客様(食べ手)が決めること。
では、僕はここでどんな料理をつくることができるだろう、
極上食材コース14,700円(税込み)以上の?



僕は、いつしか、
これまで僕が見ていたのとは違った
料理の世界が見えてくるような気がしました。







つづく
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by le-tomo | 2008-07-01 02:26 | 世界でいちばんおいしいごちそう
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エルブランシュ(麻布十番)のオーナーシェフ


by tomohi
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