樹の上で眠る黒い貴婦人を、あなたに。 ~ジェリンヌ・ノワール~
ちいさな頭の、とさかから顎にかけてだけが、華やかに赤い、
ジェリンヌ・ノワール geline noire という
優美な優美な鶏がいます。
ジェリンヌ・ノワールは、長い物語を持っています。
ロワール川の流れる、トゥーレーヌ地方に、
王家の谷と呼ばれる、美しいお城がいくつも立ち並ぶ地域があって。
中世からルネッサンスにかけて王侯貴族たちは競って、
このあたりにたくさんのお城を建て、
いつしかその渓谷は、王家の谷、
Valee de roisと呼ばれるようになりました。
ある日、その谷あいの町ラカンに、
一人の青年が訪れました。
家禽類の飼育に情熱を注ぐべく、理想の環境を探していた青年が。
彼の名はフランソワ・ユエ。
いくつかの飼育農家を渡り歩いた後、
あらためてフランス国立農学研究院に入学し、
家禽類の栄養と交配学を学び、
博士号を取得した青年。
聡明そうな広い額と、青く澄んだ瞳を持っていました。
彼はたどり着いたばかりのラカンの地を歩きながら、
おもっていました、
ここだ、ここならば、自分の夢が叶うに違いない。
そう、穏やかな気候、ゆたかな自然、
かすかに汐の匂いの混じった空気、
それはまさに彼が捜し求めた理想の土地でした。
そこで彼は、「ゆたかな自然」と「創造性に満ちた飼育」の
共生を試し、そして彼は
さまざまな鳥~鶏を見事に作り上げてきました、
作品のように。
僕が入手に成功したのは、
トゥーレーヌの地にむかしから生きてきた鶏種の、
ジェリンヌ・ノワール geline noire。
彼女たちは、樹の上で眠ります、
なぜなら、いつなんどき襲いかかってくるかわからない危険から
身を守るために。
そう、驚くべきことに、彼女たちは、飼育されながらも、
いまだちゃんと野生が息づいているんです。
なるほど、肉質はひきしまっていながらしなやかで、
なおかつジューシー、
口のなかに肉のうまみが優美に広がります。
(本当に少しだけ入荷したのですが、メール会員の方々に優先的にご案内したところ、即日完売してしまいました。次回の入荷待ちです。)
