魔法のフォアグラを、あなたに。
鴨、仔羊、仔鳩といろいろありますが、
そのなかでもフォアグラほど魔術的な魅力で、
人々を魅了してきた食材はありません。
ていねいな飼育、品質、鮮度、そして高い調理技術、
それらがすべて最高の状態で結びついたとき、
フォアグラは、皿の上の夢に変わります。
古代ローマ時代の詩人、ホラティウスは、
まさに芸術、と賞賛しました。
逆に、品質も鮮度も悪く、へたくそに調理されたフォアグラほど
魅力を欠いたものもありません。
なにしろフォアグラはデリケートで扱いにくく、
加熱すると、どんどん脂が溶け出してしまうので、
調理するには、充分な注意と、技術、明快な方針が必要で、
それは一朝一夕で身につくものではありません。
そこで修行時代の僕は、むしろ挑戦心をかきたてられました。
そう、なんとしてもフォアグラを最高のレヴェルで、なおかつ
何種類もの多彩な料理に仕上げることを目標に、
僕は自分の調理技術を高めてきました。
しかし、フォアグラはおもった以上に手ごわく、
ある程度以上のレヴェルになかなかいきませんでした。
一流のレヴェルをつかめたのは、フランスに渡って、
アルザスのランスブルグで修行していたときでした。
そうなると、さらに欲が出て、自分の料理にするため、
さらに研究し、3年後に、自分の理想の形が生まれました。
「フォアグラのポワレ、シェリーヴィネガーソース」
どうぞ、僕のこの料理をお召し上がり下さい。
ふつうならば堅めのフロマージュのようなフォアグラを
僕は、外側の輪郭だけを残し、プリンのように
ぷるんぷるんに仕上げます。
フォアグラ初体験の人はもちろん、フォアグラを
食べなれていらっしゃる方も、是非一度、どうぞ。
仲間の料理人にも、作り方は秘密です。