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料理人の休日

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~第59章 雨の日が多いブルターニュ~  <僕の料理人の道>

日本で言うと大晦日の日に僕はパリに向かいました。
ブルゴーニュのレストランへ行くまで少し日にちがあったので、パリに住んでいる友人宅にしばらく居候することにしたのです。彼は僕と同郷で、フランスに料理の勉強に来てはや5年が経とうとしていました。彼はその時、4年間勤めたルーアンのレストランをやめて次の職場を探しているところでした。

パリからRER(高速地下鉄)にのって、ディズニーランド方面に向かう途中に彼の住んでいるマンションはありました。そこは3LDKの間取りに3人でルームシェアするタイプのもので、香港人の女性も一緒に住んでいたのです。それにはちょっと驚きました。国籍も、性別も関係なく誰が一緒に住むことになるのか分からないなんて日本ではちょっと考えられないですから。

2,3日そこで寝泊りして、僕はブルターニュのレストランに向かいました。
去年、アルザスから手紙を出してOKの返事をもらった2つ星のレストランです。
ブルターニュは海の幸の宝庫。多分、フランスで一番、魚介料理が豊かな地方でしょう。
プロヴァンスもブルゴーニュもアルザスもそれぞれに素晴らしかったのですが、海の幸をふんだんに使ったブルターニュ料理は、これから日本へ帰ったあともきっと役に立つと思ったのです。

僕は魚介料理が得意なブルターニュ地方に凄く興味がありました。
あと、ブルターニュといえば、クレープやシードルなども有名ですよね。

駅を降りスーツケースを引きずりながらレストランまで行きました。
エントランスで受付の女性に、去年もらったOKの手紙を渡し、説明しました。
5分ほどして、男の人が現れました。

「ボンジュール、ムッシュー。今日からお世話になります日本人のオガワトモヒロといいます。」

と挨拶をすると、彼は思いがけないことを僕に言いました。

「悪いが、あなたはここでは働けないよ。ちょっといろいろあって雇えなくなった。帰ってくれ。」

僕の頭の中は真っ白です。
何!?何が起こったの!?

「えっ!雇い入れるという返事の手紙を頂いています。お願いします。他に行くところがないんです。」

必死に食い下がりましたがダメでした。

僕はその日から働くはずのレストランから追い出され、ドアを閉められた後もしばらく呆然と立ちすくんでいました。

どうしよう...

後ろを振り返り、とりあえず駅のほうに向かうと電話ボックスが見えました。

“とりあえず彼に電話しよう”

昨日まで居候させてもらった友人に電話しました。

彼は僕を心配してくれて、快く迎え入れてくれました。
再度、今来た旅路を憂鬱な気持ちで戻ることになったのです。
来るときは晴れていた空が曇りだして、今にも雨がふりそうです。
ブルターニュ地方はフランスでも雨の日が多い地方でした。

つづく



*この記事は、僕が修行していた時代のことを書いています。
by le-tomo | 2007-01-27 01:35 | 僕の料理人の道 51~60章
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エルブランシュ(麻布十番)のオーナーシェフ


by tomohi
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