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料理人の休日

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~ 第48章 おとぎの国「メッス」 ~  <僕の料理人の道>

とうとう、300人のクリスマスダンスパーティーの日がやってきました。
朝、7時に厨房に集合しシェフが借りてきた大きなトラックに食材を積みはじめました。
リストを見ながら忘れ物がないように何回もチェックし全ての荷物が積み終わったのは8時ごろでした。

そして出発。

トラックはシェフが運転し、僕はミッシェルと一緒に彼の愛車ブルーのフォルクスワーゲンに乗り込みました。
会場があるのはロレーヌ地方の主要都市「メッス」
この時期のフランスは朝8時でもまだ薄暗く、まるで夜のようです。

ドライブ気分でしゃべりながらメッスに向かう途中、一緒に乗り込んだ女の子のオレリーは歌を歌い始め、とても賑やかなドライブになりました。まだ16歳のこの女の子はここランスブールでサービスの見習いをしています。とても明るい女の子でみんなの人気者です。そうです、サービススタッフも全員、このパーティーのサービスを担当すべくメッスに向かっています。

今から300人のパーティー料理を仕上げなきゃいけないのにこんなにはしゃいで最後までもつんだろうか…。途中、朝昼兼用の食事としてブーランジェリー(パン屋)でパン・オー・ショコラ(チョコチップ入りパン)を買い、食べながら歌いながらの道中になりました。
フランス人は朝からこのチョコレートの入った甘いパンを喜んで食べるのです。

2時間ちょっとでメッスに着くと驚くほど賑やかな街でした。
でも、そんなことを言ってる場合じゃありません。会場に着くと早速、食材を降ろし、シェフから料理を仕上げるスケジュールの説明がありました。そして作業開始。

300人もの量になると袋の封を開けるのも、食材をバットにただ並べるだけでも一仕事です。時計を見ると朝の11時を少し回っています。パーティーが始まるのは夜の8時です。丸一日がかりの大仕事です。

着々と300人分の料理の準備が進んでいきます。使い慣れていない調理場にみんな苦戦を強いられましたが8時のスタートには間に合いそうです。

夕方の5時。先が見えた時点で賄いをとることにしました。
腹が減っては戦は出来ませんからね。
賄いはバゲットにハムやチーズを挟んだ簡単なサンドウィッチです。これなら洗い物がほとんど出ません。
賄い後、30分ほど休憩することになり、僕は何人かつるんで街に出ました。

そして、僕の目の前にはまるで、おとぎの国のような光景が...。



つづく


*この記事は、僕が修行していた時代のことを書いています。
by le-tomo | 2006-08-23 19:17 | 僕の料理人の道 41~50章
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エルブランシュ(麻布十番)のオーナーシェフ


by tomohi
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