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料理人の休日

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~ 第44章 分厚いフォワグラ ~  <僕の料理人の道>

ここランスブールのオードブルにはフォワグラを使った料理がいくつもありました。もともとアルザスの中心都市ストラスブールはフォワグラの産地だったそうです。今ではフォワグラの生産量はめっきり減ってしまったもののフォワグラのパテやテリーヌは有名です。

驚いたことにランスブールではフォワグラを生のまま使う料理もありました。僕はここでたくさんのフォワグラを触り、たくさんのフォワグラの料理を勉強しました。今でもフォワグラを使った料理は大好きです。

フォワグラは鴨(又は鵞鳥)の肝臓を強制肥育させて太らせたもので1個600g~1kgもあります。
フォワグラ用の鴨(又は鵞鳥)は生まれると最初の2週間は放し飼いで飼われ(エルバージュ)、元気に走り回り体力をつけます。その後、ピューレ状のとうもろこしを強制的に約1ヶ月間食べさせ続けるのです。これをガバージュといいます。
なんだか可哀想ですが、こうして世界三大珍味のフォワグラが出来るのです。フォワグラの歴史は意外に古く古代エジプト・ギリシャ時代から作られていたようです。有名な美食家アピシウスに言わせれば干しいちじくと蜂蜜入りのぶどう酒を浴びせるほど与えて太らせた鵞鳥のフォワグラが究極のフォワグラだそうです。
ランスブールで使うフォワグラは鴨のフォワグラでした。

ここに届くフォワグラは凄く新鮮で、日本で見たのものとは色、艶、触感、全てが違いました。
このフォワグラの中に通っている血管を、フォワグラを出来るだけ崩さないように気をつけながら取り除きます。そして塩、胡椒、ソーテルヌ(甘口のワイン)でマリネしてテリーヌにするのですが一日に20個ものフォワグラを扱うこともしょっちゅうでした。

フォワグラのポワレ(ステーキ)もメニューにあったのですがここではフォワグラの切り方が違います。普通はエスカロップといって1cmほどの厚さに削ぎ切りにするのですがランスブールでは4cmほどの厚さに切っていました。僕はこの分厚いフォワグラが気に入り、今でも厚めにフォワグラを切るようにしています。

こうして、僕はランスブールでフォワグラの魅力に惹かれました。
今でも僕のスペシャリテはフォワグラのポワレです。


つづく


*この記事は、僕が修行していた時代のことを書いています。
by le-tomo | 2006-07-07 01:18 | 僕の料理人の道 41~50章
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エルブランシュ(麻布十番)のオーナーシェフ


by tomohi
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