~第27章 とあるオーベルジュからの手紙~ <僕の料理人の道>
それでも諦めずに手紙を書き続けました。
100件くらいのレストランに手紙を書いたでしょうか。その頃には手紙を書くのが習慣のようになっていました。
“別に無理に他のレストランに移らなくてもここにいれば楽なんじゃないか。”
そんなことを思うときもありました。でも、せっかくフランスで働けるチャンスなのでいろんなレストランで働いて見たいという意思は強く、ただひたすら手紙を書き続けました。
あんなにうるさかったセミの鳴き声は聞こえなくなり、ほんの少し涼しい風が吹きはじめた頃、ブルゴーニュ地方のオーベルジュから一通の手紙が届きました。手紙を書き始めてからたまにですがこうやって返事が何通か返ってきたことはありましたがいずれもいい返事は一通もありませんでした。手紙を書き始めた頃は受け取ったらすぐにその場で開封していたのですが今ではとりあえずポケットにしまうようになっていました。
ランチタイムが終わりディナーの仕込みまで時間があるので部屋に戻り別途に横たわって今朝届いたオーベルジュからの手紙を開けました。この日はサッカーの練習もシェフとの卓球も無かったのです。
封を開けてフランス語で書かれた手紙を読むといつもの内容と何か違うような気がしたのです。手紙を読むと言ってもまだ、僕には文章をすらすら読めるほどフランス語が達者なわけでもなく何通か届いたネガティブな手紙を読んでいるうちにそんな文章に慣れたといったほうが正しいでしょう。意味は分からなくてもなんとなく内容は分かるものです。だいたい良く似た単語が並んでいますから。
“今回届いた手紙の内容はなんとなく違うような。もしかして…。”
急に希望が湧いてきました。早速辞書をひきましたが確信が持てず誰かに見せなければと焦りました。急いで誰かに見せなければ…。
2階にある僕の部屋から階段を駆け下り1階へ。人の気配を探してバーに向かいました。そこにはオーナーの息子“ジョフレイ”がシロップでジュースを作って飲んでいました。
彼はまだ11歳。でもこの際フランス語が読めれば誰でもいい。
「サリュー、ジョフレイ。この手紙を読んでくれないか?」
つづく
*この記事は、僕が修行していた時代のことを書いています。
100件くらいのレストランに手紙を書いたでしょうか。その頃には手紙を書くのが習慣のようになっていました。
“別に無理に他のレストランに移らなくてもここにいれば楽なんじゃないか。”
そんなことを思うときもありました。でも、せっかくフランスで働けるチャンスなのでいろんなレストランで働いて見たいという意思は強く、ただひたすら手紙を書き続けました。
あんなにうるさかったセミの鳴き声は聞こえなくなり、ほんの少し涼しい風が吹きはじめた頃、ブルゴーニュ地方のオーベルジュから一通の手紙が届きました。手紙を書き始めてからたまにですがこうやって返事が何通か返ってきたことはありましたがいずれもいい返事は一通もありませんでした。手紙を書き始めた頃は受け取ったらすぐにその場で開封していたのですが今ではとりあえずポケットにしまうようになっていました。
ランチタイムが終わりディナーの仕込みまで時間があるので部屋に戻り別途に横たわって今朝届いたオーベルジュからの手紙を開けました。この日はサッカーの練習もシェフとの卓球も無かったのです。
封を開けてフランス語で書かれた手紙を読むといつもの内容と何か違うような気がしたのです。手紙を読むと言ってもまだ、僕には文章をすらすら読めるほどフランス語が達者なわけでもなく何通か届いたネガティブな手紙を読んでいるうちにそんな文章に慣れたといったほうが正しいでしょう。意味は分からなくてもなんとなく内容は分かるものです。だいたい良く似た単語が並んでいますから。
“今回届いた手紙の内容はなんとなく違うような。もしかして…。”
急に希望が湧いてきました。早速辞書をひきましたが確信が持てず誰かに見せなければと焦りました。急いで誰かに見せなければ…。
2階にある僕の部屋から階段を駆け下り1階へ。人の気配を探してバーに向かいました。そこにはオーナーの息子“ジョフレイ”がシロップでジュースを作って飲んでいました。
彼はまだ11歳。でもこの際フランス語が読めれば誰でもいい。
「サリュー、ジョフレイ。この手紙を読んでくれないか?」
つづく
*この記事は、僕が修行していた時代のことを書いています。
by le-tomo
| 2006-03-21 22:56
| 僕の料理人の道 21~30章


