料理人の休日

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モナムール、パリ!

おかげさまでエルブランシュは1周年を迎えることができました。
そこで、先日、3月20日の夜、
僕の友人であるアコーディオニスト、檜山学さんを招いて、
まるで、パリのビストロのように、
アコーディオンの音色を聞きながら、美味しい料理とワインを楽しむ、
そんな、一夜限りの食事会を開催しました。
みなさんにはこんなご案内を差し上げました。


+*+*+*+*+*+*+*+*

20日の夜、僕のパリへ、いらしてください。


ブローニュの森のそばの、静かな部屋。
窓からはエッフェル塔が見える。
夕暮れになると、その部屋には
趣味のいい大人たちが現れ、
いい香りのするお酒がグラスに注がれ、
料理のおいしい匂いが漂う。
そんなイメージとともにエルブランシュを作って、
1年がたちました。

みなさまには順風万帆と言われることが多いエルブランシュですが、
それでも開店当初には、せっかく仕入れたすばらしい食材が
まかないに化けた夜もありました。
それでもエルブランシュは、
くいしんぼうで趣味の良いお客様に恵まれて、
日を追うごとにお客様も増え、いまでは、
決して「予約の取れないレストラン」ではありませんが、
スタッフ全員、充実した日々を送ることができています。
みなさまほんとうにありがとうございました!

そこで、今回の食事会は、初心に戻って、
僕が、パリ最高のビストロをイメージして、
2008年3月20日一夜限り、お届けしようとおもいます。
僕はパリのビストロのふんいきが大好きです。
テーブルの間近で聴く
ミュゼット・アコーディオンの、
暗く、艶のある、色っぽい演奏。
ワインがあって、料理があって、
その場所の空気がまるで魔法のようになって、
夜ががぜん親密に感じられるような、そんななにか。
僕は、パリのビストロが大好きです。
なぜなら、それは僕のなかのフランスに、
なくてはならない大切なものだから。

そこで、今回エルブランシュでは、
パリのビストロ料理を、すべて僕の料理の流儀で、
もっとおいしく、もっとエレガントに、そして
今回は品数多彩なデグスタシオン・スタイルで
おたのしみいただこうとおもいます。
豚足のテリーヌ、リエット、鴨のコンフィのサラダ仕立て、
鶏のフリカッセ・アンシエンヌ風、仔牛のポワレ・粒マスタードソース、
牛ほほ肉の赤ワイン煮...
まだまだたくさんお出ししますよ、
もちろんデザートも多彩にご用意します。

さらに今回は、
僕の友人のアコーディオニスト、
イタリアやフランスで勉強し、
数々のコンクールでも賞をとるほどの実力派、
檜山学さんをお招きして、
料理と一緒に、彼の演奏もお届けします。
彼の公式ホームページはこちら↓
http://www.manabuhiyama.com/information.html

2008年3月20日夜、
エルブランシュが、一夜限り、
パリのビストロになります。
たのしい時間を、一緒に過ごしましょう!



+*+*+*+*+*+*+*+*



この日は、定員を超えて、超満席。
僕の料理に檜山さんのアコーディオン。
素晴らしく楽しいひと時でした。

また、いつか開きたいですね、
音楽のある食事会。


1周年を迎えられましたのも、みなさまの応援のおかげです。
ありがとうございます。
心より、感謝申し上げます。

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by le-tomo | 2008-03-26 05:28 | エル ブランシュへ、ようこそ

ポマールのドメーヌ、アンヌ・パラン(Anne PARENT)

フランスのブルゴーニュ地方、ポマールという村に
お隣のヴィルネイという小さな村から引っ越してきたパラン一家。
引っ越してきたのは1803年。
パラン家は、完璧なワインを求める力強い精神で、
フランスのみならず、海外でも高い評価を受け、
第3代アメリカ合衆国大統領、トーマス・ジェファーソンのお墨付きで、
ホワイトハウスでも愛されるほどでした。


完璧なワインを目指す精神は脈々と引き継がれ、
現在では、13代目当主、アンヌ・パラン氏(女性)が、
伝統的技法と最新の技術の融合で、
力強さとエレガントさを兼ね備え、色合いの深い、
素晴らしく美味しいワインをつくっています。



3月13日、
エルブランシュに、この偉大なワインの作り手、
パラン家の13代目当主、アンヌ・パラン氏がTV取材をかねて
食事に来てくれました。

(取材の様子、弟のブログより)
http://blog.livedoor.jp/kab/archives/51274333.html#comments

彼女は、ドメーヌ・パランのワインは料理と一緒に楽しむものです、
と僕に強く訴えました。
彼女も料理は得意だそうで、僕の作る料理に興味深々でした。

僕がフォワグラを焼き始めると、
「私も家でよくフォワグラを焼くわ。
私の焼き方は...。」

とか、

鴨を焼き始めると
「私の鴨のロティは最高よ!シェフと同じように皮からじっくり焼いて...」

とか、ずっとおしゃべりしてました。

そして、開けたワインは、ポマール2005(もちろん、ドメーヌ・パラン)。
彼女いわく、今世紀、最高のヴィンテージ。
彼女は、グラスに注がれたワインを熱心に、注意深く
色を見て、香りをかぎ、
一口、口に含むと、目をつむったまま、
しばらく考え込むように動かなくなりました。

「最高!」

このワインを飲んだあとの最初の言葉でした。
「エレガントさ、力強さ、熟成感、どれも素晴らしいわ」
彼女は満足そうにワインを飲みながら食事を楽しんでいました。

今回の食事は取材もかねていたので、TVカメラがまわっていていました。
僕と、パランさんが料理の話やワインの話をしているのを
ずっと撮影していたので、僕はちょっと緊張気味でした。
それでも、楽しくお話しをしながら、あっという間に4時間が経ち、
最後に彼女と握手を交わしました。

「エルブランシュは最高のレストランだわ。来年も必ず来ます。
フランスに来たときは、是非、私達のメゾン(家)に遊びに来てください。
今日はお礼に、料理ともとも相性のいい、2004年ヴィンテージのポマールを
置いていきます。」

彼女はおしゃべりで、かわいらしい女性でした。
彼女のつくるワインは力強く、エレガントですが、
どこかチャーミングさもあるのではないのでしょうか。
彼女と会って話した、僕の感想です。

アンヌ・パランさん、またお会いしましょう!

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by le-tomo | 2008-03-19 09:28 | エル ブランシュへ、ようこそ

~第86章 僕の上司はイタリア人 ~  <僕の料理人の道>

髭をはやした50歳くらいの小柄な男性が、
ちょっとヨレヨレになったコックコートで、僕に近づいてきました。

「ボンジュール」
彼は笑顔で僕に話しかけてきて、とても気さくで親しみやすい感じでした。
彼の名はショレイ。
この名店の厨房を切り盛りするシェフです。

彼の指示で、若いアプランティ(見習い)が僕を寮まで連れて行ってくれました。
レストランから歩いて5分ほどのところに寮があります。

・・・決してきれいとはいいにくい、ちょっと傾いてるんでは?といった建物です。
仕方ありません。
一つの部屋に2人づつ。
僕を連れてきてくれた彼が、これから一緒に寝泊りするルームメイトのようでした。

早速、荷物を置いて、コックコートに着替え、
調理場にルームメイトのシルヴァンと一緒に向かいました。
フランスでは、到着するやいなや、即仕事にはいるのはよくあることです。

僕の最初のセクションはロティスリー。
主に肉料理を担当する部署です。
日本人は魚料理を担当するセクション、
ポワソニエになることが多いと聞いていましたが、
僕はなぜかロティスリーに配属されることが多かったのです。

毎日、毎日、大量の仔羊や鴨をさばきました。
今まで僕が、フランスで働いたレストランの中で、ここ、ムーラン・ド・ムージャンが
もっとも大きなレストランだったので、料理人の数も半端じゃないのですが、
食材の量も半端じゃなかったのです。
30数人いる料理人が、各セクションで自分の分担する仕事をテキパキとこなし、
朝、大量に届いた食材は、ランチが終わる頃には全部下処理を終え、
大きな、大きな冷蔵庫にしまわれます。

調理場も無茶苦茶大きく、離れにももう一つ、調理場がありました。
この離れでまかないも食べました。
これだけの人数が働いていると、まかないも半端じゃない量です。
ちょっとした宴会のようでした。

ここで僕は肉をロティ(ロースト)したとき、
一定時間、オーブンから出した肉を休ませることの重要性を叩き込まれました。
もちろん、今までもそうしてきました。
でも、ここでは肉を休ませることをとてもうるさく言われました。
そのため、ディナーが始まるとすぐに、
仔羊や鴨なんかの肉をある程度の数だけ焼きはじめていたのです。
そう、オーダーを待たずに。
ゆっくり、ゆっくりと休ませながらじっくりと火を入れていったのです。
しかも、できるだけ大きな塊で。
そうやって焼かれた肉は、中がきれいなピンク色で、
その切り口は、本当に美味しそうでした。

もう一つ、驚いたことに、
この調理場には、肉と魚を焼くところ、それぞれに鉄板が設置されていました。
あの、日本では、お好み焼きを焼くような鉄板が。
この鉄板はとても便利でした。
フライパンを一回一回洗わなくてもいいのですから。
もちろん、その便利さより重要なのは、食材を焼くのにもっとも適しているということ。
分厚い鉄板は、薄いフライパンと違って、肉や魚を置いてもそう簡単に温度が下がりません。
それは、きれいな焼き色をつけるのにはもってこいです。
焼くむらもほとんど出来ないのです。
僕が、自分のお店を持つことになったら、鉄板を置こうと、このとき思いました。

ムーラン・ド・ムージャンは世界的に有名なレストランです。
料理人も世界中から勉強に来ています。
イタリア人、ポルトガル人、アメリカ人、スペイン人...。
調理場はフランス語か英語が飛び交います。
ロティスリー部門の、僕の上司はイタリア人でした。
なんだか、不思議な感じです。
これだけ国際色豊かな調理場はそうないと思います。

これが世界に名をはした、
ロジェ・ベルジェ氏のレストラン「ル・ムーラン・ド・ムージャン」なのです。



つづく



*この記事は、僕の修行時代のことを書いています。
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by le-tomo | 2008-03-11 00:02 | 僕の料理人の道 81~90章

僕らの料理セッション ~最終話~

黒羽シェフとのメニューの打ち合わせは楽しく、
アイディアはふくらみ、僕は張り切っていました。
黒羽シェフも張り切っているようでした。

27日が近づくにつれ、
ワクワク感はどんどん高まり、
黒羽シェフと一緒に力をあわせて作ったメニューを、
お互いが、お互いの役割を果たすべく、料理の精度を上げることに、
最後の数日をついやしました。


さて、いよいよ当日がやってきました。
準備は万全。
いつもより、3時間も前にお店に向かいました。
黒羽シェフは、厨房スタッフ2名、サービススタッフ2名を引き連れて、
エルブランシュに到着しました。
全部で5人。
エルブランシュのスタッフ(4人)より多いのにびっくりしました。

「すいません、小川さん。どうしても勉強したいって言うのでつれてきちゃいました。」

みんな、休みを返上して勉強に来たのです。
目はぎらぎらとしていて、絶対何か得て帰ろうと、必死さが伝わってきます。
黒羽シェフはいいスタッフを持っています。

でも、こちらも負けてはいられません。
この日を成功させるために、みんな一生懸命準備をしてきました。

さて、オープンの時間がきました。
お客さんが続々来店してきます。
最初に僕と黒羽シェフでテーブルを周り、挨拶をしました。
挨拶を終え、厨房に戻ると、いよいよ料理スタートです。
慣れない厨房なのに、黒羽シェフの指示で、テキパキと動くスタッフ。
僕も、黒羽シェフも集中しました。
周りが見えなくなるほどに。

黒羽シェフは料理を出すたびに、客室を覗き込んで、様子を伺っていました。
お客様が満足しているかどうか、自分の目で確かめたかったのでしょう。

同じ厨房で、僕と黒羽シェフが、競いながら調和し、
今日はじめて会ったスタッフ全員が一つになる瞬間、
この瞬間をともにしているお客様全員の満足感が最高潮になったのを感じました。


全ての料理を出し終えました。
僕らは全力でこの食事会を成功させました。
黒羽シェフと最後にテーブルを周ると、
みなさんからありがたいお言葉をたくさんもらいました。

「やってよかった。」

僕と黒羽シェフはそうつぶやいて、顔を見合わせました。
黒羽シェフのこのときの笑顔は忘れられません。


お客様が全員帰られた後、
今日、この記念すべき日を成功させたスタッフみんなで、
シャンパンで乾杯しました。
みんな、達成感に満ちていました。


こうして、一夜限りの

「僕らの料理セッション」

は終わりました。




翌日、黒羽シェフからメールが届きました。


+++++++++

昨日はお疲れさまでした。
楽しかったですね。なんかまたできたらいいな
なんてみんなで言っていました。
スタッフもいい経験になったようです。
ありがとうございました。
本当、お互い頑張りましょう。
皆さんに宜しくお伝え下さい。

黒羽

++++++++++



黒羽シェフ、
きっといつかまた...


最後に、このコラボレーション食事会「僕らの料理セッション」に
ご参加いただきましたみなさま、本当にありがとうございました。
この素晴らしい時間をみなさまとともに過ごせたことを、
僕はすごく幸せに思っています。



おわり



小川智寛




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by le-tomo | 2008-03-04 04:16 | 僕らの料理セッション

僕らの料理セッション ~第三話~

日程が決まったら、あとは細かいメニューの打ち合わせです。
基本的に料理は黒羽シェフと僕とが交互に作ることにしました。

「黒羽さん、最初はやっぱりマンジャ・ペッシェで出している三島野菜のバーニャカウダでしょ。」
エルブランシュの野菜も美味しいのですが、ここは黒羽シェフ自慢の三島野菜で、
お客様を喜ばせたいと思ったのです。
僕の最初の修行先、箱根のオーミラドーでも、
マンジャ・ペッシェと同じ三島の広川さんの野菜を使っていたので、
その素晴らしさはよくわかっていました。

次のオードブルは僕が、次は黒羽シェフが...
もちろん、黒羽シェフにパスタを作ってもらって、
魚料理は黒羽シェフ、肉料理は僕が。
デザートはお互い1品づつ。
合計で9品のフルコース。

黒羽シェフはオードブルで駿河湾の手長海老にプロシュートを巻いてソテーし、
トンネルの跡地でとれたホワイトアスパラガスとバナナを添えて、
天城軍鶏の卵黄のソースに
25年間熟成させたバルサミコ酢のソースを併せた料理を提案してきました。

ホワイトアスパラガスとバナナの組み合わせなんて
素材と素材をあわせるセンスが憎いくらいうまいですよね。
プロシュートの塩気で甘みの強い手長海老を巻くことでより海老の味が強調され、
それを卵黄のまろやかなソースで包み込む。
25年間熟成させたバルサミコ酢のソースがアクセントになる...。

さすが、黒羽シェフ。

僕はここ最近ずっと考えていた新しい料理を完成させようと思いました。
僕のスペシャリテ、ぎりぎりの火入れでぷるんぷるんに焼いたフォワグラのポワレを、
急速冷却して、考えられないほどねっとり柔らかいテリーヌ状にしたものに、
自慢のマダムビュルゴーのシャラン鴨をロティしたものをあわせ、
甘みの強い、福井のピーチ蕪を角切りにして、
フランボワーズヴィネガーをベースにしたソースに入れたものを。
あたたかい鴨のロティと冷たいフォワグラのポワレをあわせた一品です。

こうやって、お互い料理の提案をしながら、
コースのバランスを考え、2人で力をあわせて作ったコース。

http://ryorinin.exblog.jp/8298662/

僕は、当日が楽しみで仕方ありませんでした。
どうなるんだろう、この食事会。
参加されるお客様は最高に幸せだろうなぁ。
僕は当日の成功を確信しました。


つづく
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by le-tomo | 2008-03-03 04:53 | 僕らの料理セッション

僕らの料理セッション ~第二話~

あたりはすっかり暗くなっていました。
今から東京へ帰らなければならないのに、
ついつい、黒羽シェフとの話が楽しくて、時間を忘れていました。

「黒羽さん、今日はありがとうございました。素晴らしい料理でした。
コラボレーション、きっとやりましょうね。」
僕は、黒羽シェフとのコラボレーションの約束をし、レンタカーで帰路につきました。

車の中でも、ずっとコラボレーションのことを考えていました。
一体、黒羽さんはどんな料理を考えてくるのだろう...
すでに、このときから僕はワクワクしていました。
きっと黒羽シェフも同じように...。


このとき、エルブランシュはオープンしてからまだ4ヶ月あまり。
まだまだ、整っていないことばかり。
黒羽シェフとのコラボレーションはすぐには出来ない状況でした。
それでも、黒羽シェフとは連絡を取り合い話を進めました。

いつかきっと実現する2人のコラボレーションの日に向けて...


そして年が明け、黒羽シェフと僕の、お互いの状況を考えて、
この夢のコラボレーションの日を決めました。

2008年2月27日水曜日

この日が、僕と黒羽シェフがコラボレーションする日に決めました。
エルブランシュが一周年を迎える10日前です。


つづく
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by le-tomo | 2008-03-01 13:25 | 僕らの料理セッション
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東京のエルコーポレーションと福井のマイナーリバーズの2つの会社を経営し、エルブランシュのオーナーシェフをしています。


by le-tomo
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