料理人の休日

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真実という名の果実のスープ

やわらかい産毛に包まれ、淡いピンクのグラデーションが魅力的な、とおい昔に「真実(まみ)」と呼ばれた果実。

身はやわらかく十分な果汁を含み、香りは甘くて淡い。
この淡く甘い香りが人々を誘惑してやまない。
まさに「桃源郷」(理想郷)へいざなう果実。




この果実、桃と一切混じり気のない純粋で濃厚なダブルコンソメを合わせたスープを作りました。
この冷たい桃のスープはデザートではなく冷前菜のスープ。
前職の料理長時代から作っています。
http://ryorinin.exblog.jp/114891/
今までは桃をそのまま器にしていましたが、今回はご来店されたみなさんに召し上がってもらおうと、全コースの最初の小皿(アミューズ・ブーシュ)としてデミタスカップでお出しします。

とりあえず、今週一杯はこの「桃の冷たいスープ」をお出しする予定です。(来週は未定)
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by le-tomo | 2007-07-23 13:38 | エル ブランシュへ、ようこそ

アンジューのうずら

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フランスで一番優美で華麗な地域、ロワール地方。
ここには中世時代からルネッサンス時代、近代に至るまでの古城が数百とあり、今尚、その時代の優雅さと風格を保っています。
ロワール川の水辺に建ついくつかのお城の水面に映る姿は、素晴らしい一枚の絵画のように見えます。
僕は水面に映るお城の神秘的な姿がとても大好きです。

そんなロワール地方のうずらやうさぎの飼育農家のレベルはフランス有数です。
今回仕入れたのは、ロワール地方、アンジュー産のうずらです。
まるまると太ったこのうずらは、やわらかくて味がしっかりとした最高品質のものです。
今が旬の美味しい夏野菜と豚足をコトコトと煮て、骨を抜いたうずらに詰め丸ごと一羽ローストしました。

今回、20羽の仕入れとなりますので、ご予約はお早めに。ご予約時にうずら希望とおっしゃってくだされば取りおきしておきます。

6,300円~のどのコースでもお選びいただけます。
http://www.aileblanche.jp/blog_menu/cat17/
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by le-tomo | 2007-07-17 14:29 | エル ブランシュへ、ようこそ

<第67章 凄腕のパティシエの名>  ~僕の料理人の道~

フランス北西部の大西洋に大きく突き出した半島のブルターニュ地方。
北には英国海峡、南はビスケー湾に面し、大西洋の恵みともいえるオマール海老をはじめ、ヒラメや帆立貝など魚介類が豊富な、フランス一魚介類が得意な地方です。

そして、このレストラン「オーベルジュ・グランメゾン」も例外ではなく魚介料理がスペシャリテのブルターニュ地方独特の料理を提供しています。
肉料理よりも魚料理が多く、中にはオマール海老だけのコースもありました。
今まで働いたレストランの中で一番、魚介の扱い方が繊細で丁寧。
肉と魚が一皿の中でうまくとけあった料理も何品かありました。

たとえば...

仔牛の胸腺肉、リー・ド・ヴォーと手長海老をパイで包んで焼き上げたパイ包み焼き、
仔羊の背肉のローストに仔羊の骨からとった出しにアサリの煮汁を加えたソース、
オマール海老と牛テールを一緒に煮込んだココット料理


僕の目にはどれも新しく斬新に移りました...が、どれもブルターニュの地方料理でした。

僕はフランスに来て3年目に入っていましたが、この独特な料理の数々にわくわくしていました。

高緯度のわりには温暖で、雨が多く、石の色一色の決して派手ではない街並みのブルターニュ地方。フランスにしてフランスではない、そんな独特な風習をもったこの地方に魅かれていました。

フランス料理といえば肉料理を思い浮かべる方が多いでしょうが、ここブルターニュ地方は魚介料理が豊富で、間違いなくフランス一、魚介料理が美味しい地方です。
フランス人が唯一、生で食べる魚介、「牡蠣」
開けたての生牡蠣にレモン汁を絞り、一口でチュルッと、一人1ダース単位で食べるというあの生牡蠣もブルターニュの特産品です。


ディナーが終わり後片付けを終え、ディディエと一緒の帰り道に...といっても1分で着きますが...

「ブルターニュの料理って面白いな」
と話しかけました。

ディディエは僕に
「ブルターニュは特別なんだ。料理だけじゃない、お菓子も独特で面白いよ。」
と僕に自慢げに答えました。

「へぇ、お菓子も独特なんだ。」

僕はここにいるうちにデザートも勉強しようかなと思いました。
せっかく、コンクールの優勝者が近くにいるのですから。

“ディディエ・ピケ”

ちょっと変な名前ですが、今、僕の横を歩いている凄腕のパティシエの名です。


つづく


*この記事は、僕の修行時代のことを書いています。
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by le-tomo | 2007-07-16 03:41 | 僕の料理人の道 61~70章

~ 第66章 オマールブルトンとの格闘 ~  <僕の料理人の道>

ランチの準備といってもフランスではランチメニューが特別にあるわけでもなく、ディナーメニューとまったく同じです。
それにディナーのようにお客さんが押し寄せることもなく厨房も比較的ゆったりした時間のなかで仕込みをしながらレストラン営業をします。

今朝はブルターニュ産のオマール海老が100匹届いています。
このオマール海老は世界一といわれる美味しさ。
色はブルーで身はしっかりした筋肉質な感じ。噛めば噛むほど味が出る肉のような海老です。
オマールブルトン、又はオマールブルーと呼ばれています。

目の前にこのオマールブルトンが100匹生きて動いています。
まずは寸胴に水をはり、野菜のくずとレモン、タイム、ローリエ、岩塩をいれ沸かします。
沸いたところへオマール海老を生きたまま放り込んで3分ほど茹で冷水に落として冷やしてから殻をむきます。
スーパーに売っているエビフライ用の海老のように素手で簡単に向けるような硬さではありません。手には軍手をはめて、腹の部分の薄い殻をハサミで切り取り軽く横から押しつぶして殻をむきます。はさみの部分は大きな包丁のミネの部分を使って叩き割りながら殻をむきます。
このたたく加減がちょっと難しいのです。あまり強すぎると身がつぶれてしまい、弱すぎると殻は割れません。

そんな風にしてオマール海老と格闘をして約2時間、つやのあるプリンとした身だけを取り出します。

さて、次は殻からだしをとります。
殻を細かく叩き潰して、オーブンでからからになるまでしっかり焼き、香味野菜とブーケガルニを一緒に鍋にいれてコトコトと2時間程度火にかけ裏ごします。
この裏ごすときも殻をよーくつぶして最後の旨味まで一滴残らず絞りだすのです。

再び火にかけ軽く煮詰めながらアクを丁寧にとっていきます。
さらに細かい目のシノワで裏ごしします。
これでオマール海老のだしが完成。

さて次はこのだしからソースを...


という感じでオマール海老の仕込が進んでいきます。

僕を含めた3人のオマール海老チームはランチタイム、ほとんどオマール海老との格闘で終わりました。

このレストランのスペシャリテはオマール海老の料理です。
ディナータイムにはこのオマール海老がお皿の上で美味しくなって登場します。
僕はそれを楽しみに休憩時間をすごしました。


つづく


*この記事は、僕の修行時代のことを書いています。
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by le-tomo | 2007-07-11 14:20 | 僕の料理人の道 61~70章

~第65章  オーベルジュ・グランメゾン~  <僕の料理人の道>

サンブリユーの駅で待ち合わせをしました。
約束どおり迎えが来たときはほっとしました。また、この話は無かったことになんてのはごめんですからね。

サンブリユー駅から車で30分ほど走るとミュール・ド・ブルターニュ村につきます。
ブルターニュの建物は石を積み重ねて出来ています。プロヴァンスやアルザスのようなカラフルな建物はなく、落ち着いた感じの石の色一色です。

その中に緑色のテントのあるレストラン「オーベルジュ・グランメゾン」があります。

レストランに着くとちょうどランチが終わって休憩に入るところでした。
ジャック・ギヨー氏がコックコートで出迎えてくれ、まず最初に受付にいるマダムを紹介してくれました。マダムはとても明るく気さくな感じでした。

厨房では15人くらいのコックが働いていて若い子が目立ちました。
そして、デシャップ(料理を盛り付ける台)には2~3才の男の子の写真が。
ギヨーシェフは誇らしげにその写真の孫の話と娘の話もしてくれました。
彼はとても家族を大切にしているのだなとすぐに感じました。

一通りみんなとの挨拶を終え、僕が寝泊りするアパートへ案内されました。
レストランの目と鼻の先にある2DKのアパートにパティシエのディディエとシェアすることになりました。彼は僕の一つ年上。フランスのパティシエコンクールで何回も賞をとっている腕のいいパティシエです。

ディナーから早速仕事開始です。

とりあえずオードブルセクションに入りました。
まったくメニューもわからずに見よう見真似で、初日はついていくのにやっとです。
でも、最初のころよりはフランス語もわかるようになっていたので何とかなりました。
この日、50席ほどのレストランは満席でした。

仕事が終わるのは12時過ぎです。
帰ったらとりあえず荷物を広げました。
すると隣の部屋からルームメイトのディディエがビールをもってきました。
2人で1時間ほど話をしてその日は眠りにつきました。

みんな、なんだかとても優しくて暖かい感じがしました。
これからしばらくここでお世話になることにすっかり安心して、よく眠れたのか翌朝、すがすがしい朝を迎えることが出来ました。

朝9時ちょっと前にレストランに行くと、すでにディディエが厨房にいました。

「ボンジュール、ディディエ」

僕から挨拶をすると彼は仕事の手を止めてコーヒーをいれてくれました。
そして、パン・オ・ショコラを一つくれました。

そうこうしているうちに一人、また一人と出勤してきて静かだった厨房はすぐににぎやかになりました。

さて、2日目の始まりです。
今日はランチの準備からはじめます。

つづき


*この記事は、僕の修行時代のことを書いています。
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by le-tomo | 2007-07-10 13:35 | 僕の料理人の道 61~70章

~ 第64章 再びブルターニュへ ~ <僕の料理人の道>

ホテルのロビーではすでにギヨー氏がコーヒーを飲みながら待っていました。

もちろん、僕はギヨー氏の顔は知りませんが、彼からすれば日本人の僕を見つけるのはたやすいことです。彼から僕に声をかけました。
そして、いくつかの質問を受けました。

「なぜ、フランスへきたのか?」
「日本ではどんなレストランで働いていたのか?」
などなど...。

そして最後に

「ホテルオークラのムッシュ小野は知ってるか?」



「えっ!」

「ムッシュ小野?あの小野正吉総料理長ですか?・・・もちろん知ってますけど。」

この質問にはちょっとびっくりしました。
でも、小野正吉氏といえば、あのホテルオークラの総料理長でフランス料理を日本に広めるのに大きく貢献した大物です。フランス人が知っていてもおかしくありません。

彼が小野正吉総料理長の名前を出したのは理由がありました。
彼は以前、ホテルオークラへ招待され小野正吉総料理長と一緒に仕事をしたことがあったようです。

彼はこのことを、日本人の僕に誇らしげに話していました。
そして彼は日本好きでした。

一時間ほど話をした結果、僕は彼のレストラン「オーベルジュ・グランメゾン」にお世話になることが決まりました。

ブルターニュ地方にある小さな村「ミュール・ド・ブルターニュ」にある一つ星のレストランです。

僕は、再びブルターニュへ向かいました。


つづく


*この記事は、僕の修行時代のことを書いています。
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by le-tomo | 2007-07-08 23:35 | 僕の料理人の道 61~70章
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エルブランシュ(麻布十番)のオーナーシェフ


by le-tomo
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