料理人の休日

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カテゴリ:僕らの料理セッション( 7 )

僕らの料理セッション ~最終話~

黒羽シェフとのメニューの打ち合わせは楽しく、
アイディアはふくらみ、僕は張り切っていました。
黒羽シェフも張り切っているようでした。

27日が近づくにつれ、
ワクワク感はどんどん高まり、
黒羽シェフと一緒に力をあわせて作ったメニューを、
お互いが、お互いの役割を果たすべく、料理の精度を上げることに、
最後の数日をついやしました。


さて、いよいよ当日がやってきました。
準備は万全。
いつもより、3時間も前にお店に向かいました。
黒羽シェフは、厨房スタッフ2名、サービススタッフ2名を引き連れて、
エルブランシュに到着しました。
全部で5人。
エルブランシュのスタッフ(4人)より多いのにびっくりしました。

「すいません、小川さん。どうしても勉強したいって言うのでつれてきちゃいました。」

みんな、休みを返上して勉強に来たのです。
目はぎらぎらとしていて、絶対何か得て帰ろうと、必死さが伝わってきます。
黒羽シェフはいいスタッフを持っています。

でも、こちらも負けてはいられません。
この日を成功させるために、みんな一生懸命準備をしてきました。

さて、オープンの時間がきました。
お客さんが続々来店してきます。
最初に僕と黒羽シェフでテーブルを周り、挨拶をしました。
挨拶を終え、厨房に戻ると、いよいよ料理スタートです。
慣れない厨房なのに、黒羽シェフの指示で、テキパキと動くスタッフ。
僕も、黒羽シェフも集中しました。
周りが見えなくなるほどに。

黒羽シェフは料理を出すたびに、客室を覗き込んで、様子を伺っていました。
お客様が満足しているかどうか、自分の目で確かめたかったのでしょう。

同じ厨房で、僕と黒羽シェフが、競いながら調和し、
今日はじめて会ったスタッフ全員が一つになる瞬間、
この瞬間をともにしているお客様全員の満足感が最高潮になったのを感じました。


全ての料理を出し終えました。
僕らは全力でこの食事会を成功させました。
黒羽シェフと最後にテーブルを周ると、
みなさんからありがたいお言葉をたくさんもらいました。

「やってよかった。」

僕と黒羽シェフはそうつぶやいて、顔を見合わせました。
黒羽シェフのこのときの笑顔は忘れられません。


お客様が全員帰られた後、
今日、この記念すべき日を成功させたスタッフみんなで、
シャンパンで乾杯しました。
みんな、達成感に満ちていました。


こうして、一夜限りの

「僕らの料理セッション」

は終わりました。




翌日、黒羽シェフからメールが届きました。


+++++++++

昨日はお疲れさまでした。
楽しかったですね。なんかまたできたらいいな
なんてみんなで言っていました。
スタッフもいい経験になったようです。
ありがとうございました。
本当、お互い頑張りましょう。
皆さんに宜しくお伝え下さい。

黒羽

++++++++++



黒羽シェフ、
きっといつかまた...


最後に、このコラボレーション食事会「僕らの料理セッション」に
ご参加いただきましたみなさま、本当にありがとうございました。
この素晴らしい時間をみなさまとともに過ごせたことを、
僕はすごく幸せに思っています。



おわり



小川智寛




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by le-tomo | 2008-03-04 04:16 | 僕らの料理セッション

僕らの料理セッション ~第三話~

日程が決まったら、あとは細かいメニューの打ち合わせです。
基本的に料理は黒羽シェフと僕とが交互に作ることにしました。

「黒羽さん、最初はやっぱりマンジャ・ペッシェで出している三島野菜のバーニャカウダでしょ。」
エルブランシュの野菜も美味しいのですが、ここは黒羽シェフ自慢の三島野菜で、
お客様を喜ばせたいと思ったのです。
僕の最初の修行先、箱根のオーミラドーでも、
マンジャ・ペッシェと同じ三島の広川さんの野菜を使っていたので、
その素晴らしさはよくわかっていました。

次のオードブルは僕が、次は黒羽シェフが...
もちろん、黒羽シェフにパスタを作ってもらって、
魚料理は黒羽シェフ、肉料理は僕が。
デザートはお互い1品づつ。
合計で9品のフルコース。

黒羽シェフはオードブルで駿河湾の手長海老にプロシュートを巻いてソテーし、
トンネルの跡地でとれたホワイトアスパラガスとバナナを添えて、
天城軍鶏の卵黄のソースに
25年間熟成させたバルサミコ酢のソースを併せた料理を提案してきました。

ホワイトアスパラガスとバナナの組み合わせなんて
素材と素材をあわせるセンスが憎いくらいうまいですよね。
プロシュートの塩気で甘みの強い手長海老を巻くことでより海老の味が強調され、
それを卵黄のまろやかなソースで包み込む。
25年間熟成させたバルサミコ酢のソースがアクセントになる...。

さすが、黒羽シェフ。

僕はここ最近ずっと考えていた新しい料理を完成させようと思いました。
僕のスペシャリテ、ぎりぎりの火入れでぷるんぷるんに焼いたフォワグラのポワレを、
急速冷却して、考えられないほどねっとり柔らかいテリーヌ状にしたものに、
自慢のマダムビュルゴーのシャラン鴨をロティしたものをあわせ、
甘みの強い、福井のピーチ蕪を角切りにして、
フランボワーズヴィネガーをベースにしたソースに入れたものを。
あたたかい鴨のロティと冷たいフォワグラのポワレをあわせた一品です。

こうやって、お互い料理の提案をしながら、
コースのバランスを考え、2人で力をあわせて作ったコース。

http://ryorinin.exblog.jp/8298662/

僕は、当日が楽しみで仕方ありませんでした。
どうなるんだろう、この食事会。
参加されるお客様は最高に幸せだろうなぁ。
僕は当日の成功を確信しました。


つづく
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by le-tomo | 2008-03-03 04:53 | 僕らの料理セッション

僕らの料理セッション ~第二話~

あたりはすっかり暗くなっていました。
今から東京へ帰らなければならないのに、
ついつい、黒羽シェフとの話が楽しくて、時間を忘れていました。

「黒羽さん、今日はありがとうございました。素晴らしい料理でした。
コラボレーション、きっとやりましょうね。」
僕は、黒羽シェフとのコラボレーションの約束をし、レンタカーで帰路につきました。

車の中でも、ずっとコラボレーションのことを考えていました。
一体、黒羽さんはどんな料理を考えてくるのだろう...
すでに、このときから僕はワクワクしていました。
きっと黒羽シェフも同じように...。


このとき、エルブランシュはオープンしてからまだ4ヶ月あまり。
まだまだ、整っていないことばかり。
黒羽シェフとのコラボレーションはすぐには出来ない状況でした。
それでも、黒羽シェフとは連絡を取り合い話を進めました。

いつかきっと実現する2人のコラボレーションの日に向けて...


そして年が明け、黒羽シェフと僕の、お互いの状況を考えて、
この夢のコラボレーションの日を決めました。

2008年2月27日水曜日

この日が、僕と黒羽シェフがコラボレーションする日に決めました。
エルブランシュが一周年を迎える10日前です。


つづく
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by le-tomo | 2008-03-01 13:25 | 僕らの料理セッション

僕らの料理セッション ~第一話~

2008年2月27日(水)、
僕と黒羽シェフが、ずっとずっと願っていた“料理セッション”が、
麻布十番にある、僕のお店「エルブランシュ」にて、
みなさまの期待を超えるほどの大成功に終わりました。

こんなにワクワクしたことはないと思います。
料理の打ち合わせから当日に至るまでの準備、
そして、何より厨房で黒羽シェフと並んで料理をつくるというとてつもない幸せな時間、
僕にとって、こんなにワクワクするイベントは、まるで夢のようでした。



この、僕と黒羽シェフのコラボレーションは、
去年の6月のある日曜日、
僕たちエルブランシュのスタッフみんなで、休日の楽しみとして、
レンタカーを借りて、三島にある「マンジャ・ペッシェ」に
黒羽シェフの料理を食べに行ったのがはじまりでした。
この日は雲ひとつない晴天に恵まれていたことを、はっきりと覚えています。

黒羽シェフのことは以前から知っていて、
今までにも何度かマンジャ・ペッシェで食事をしたことがありました。
彼の料理はシンプルながらもおしゃれで、
素材の味を極限まで引き出す料理センスには、いつも感心していました。
この日は、僕が独立してから、初めて黒羽シェフのところに訪れた日でした。

美術館を一通り見学して、お腹をすかしてからレストランに入ると、
若いサービスマンの方が席まで案内してくれました。
席に着くと、テーブルのデコレーションプレートの上に、
ローズマリーがそっとさりげなく置いてありました。

ほどなくして、黒羽シェフがいつもの笑顔でテーブルまで挨拶に来てくれました。
「おめでとうございます。」
と、第一声で黒羽シェフは僕の独立を祝ってくれました。

食前酒にはイタリアのスパークリングワインで乾杯し、
運ばれてくる黒羽シェフの料理の数々は言うまでもなくすばらしいものでした。
力強く主張する三島の野菜たち、
とびっきり新鮮な沼津漁港からとどく天然の魚介。
どれもこれも、素材を大事に料理を考えてるんだなぁとはっきりとわかりました。
口の中に入れると瞬間的にとける生姜のシャーベットは印象的でした。

そんな素晴らしい料理を食べ終え、
濃いエスプレッソコーヒーを飲みながら、すっかり暗くなった窓の外を眺めていると、
黒羽シェフが再びテーブルまで来てくれました。

僕は黒羽シェフと、料理のことやお店のことを話しながら、
ふと、こんなことをつぶやきました。
「黒羽さんと一緒にコラボレーションできたらいいなぁ。」
「いいですね。やりましょうよ。」
黒羽シェフは即答でした。

こうして、“僕らの料理セッション”の計画が始まりました。



つづく
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by le-tomo | 2008-02-29 06:02 | 僕らの料理セッション

僕らの料理セッション、”ヨーロッパ最高の料理を求めて”

いよいよ具体化してきました、
2人のミュージシャンが出会って、
一緒にセッション演奏を繰り広げるように、
僕と、マンジャ・ペッシェの黒羽シェフが行う、
一夜限りの料理セッション。
ヨーロッパ最高の料理を求めて。
2008年2月27日(水)@エルブランシュ。

黒羽シェフは、イタリア料理の新しい波を作った
あのマルケージで修行し、
さらにはエル・ブジでも修行して、
現在はマンジャペッシェで、
日高良実シェフとともに、
新鮮でおいしい魚を使った、
シンプルでさり気なく遊び心を感じさせる
おしゃれな料理を作っておられます。
僕たちはふたり並んで厨房に立って、
お客様のためのひとつのコースを
競い合って構成します。

僕はこのコースのメニューを考えるのがたのしくて仕方ありませんでした。
ふたり合わせて、こんなコースができあがりました。






<オードブル>

広川さんの三島野菜のバーニャカウダー
(黒羽徹)

鮑、車海老、帆立貝をボルドー産キャビアで和えて、
カリフラワーのムースとコンソメのジュレを添えて
(小川智寛)

プロシュートで巻いた駿河湾の手長海老と
ホワイトアスパラガス、バナナのソテーのサラダ仕立て
薩摩軍鶏の卵黄と25年熟成のバルサミコ酢のソースで
(黒羽)

つぶ貝のタリオリーニ、ブッタネスカ風
(黒羽)

マダムビュルゴーのシャラン鴨のロテイと急速冷却したフォワグラのポワレ
ピーチ蕪と香り高いフランボワーズヴィネガーのソースで
(小川)

<メイン料理>

萩から届いた天然平目と三島野菜のスキレット焼き
シシリー産マグロのカラスミと共に
(黒羽)

北海道産生後8ヶ月の仔牛のポワレに越前こたけと勝山水菜を添えて
トリュフの香りの赤ワインソース
(小川)

<デザート>

杉本さんの小松菜のスープに
カルダモン風味のパンナコッタとハチミツのジェラートを添えて
(黒羽)

表面をキャラメリゼしたほろ苦いチョコレート
苺のマセドワーヌ添え
(小川)




僕たちはふたりとも、わくわくしながら当日を楽しみにし、
競い合って最高の料理を作り合うこと、そして
お客様の素直な感想を伺うのを楽しみにしています。

僕らの料理セッション、
”ヨーロッパ最高の料理を求めて”
2008年2月27日(水)@エルブランシュ。
7時スタート(6時30分開場)
料理代金 18000円 税・サ込み

なお、テーブル席は2名~4名様までで5テーブル、
カウンター席はおひとり様からで、5席。
計二十名様前後まで。
ご予約は先着順、残席少々。
どうぞ、お早めに。
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by le-tomo | 2008-02-23 12:33 | 僕らの料理セッション

僕らの料理セッション、2月27日(水)限定のお誘い

2人のミュージシャンが出会って、
一緒にセッション演奏を繰り広げるように。
僕と、マンジャ・ペッシェの黒羽徹シェフが、
麻布十番エルブランシュで、
一夜限りの料理セッションを開催します。

僕は、エルブランシュのスタッフの縁で
スタッフと一緒に、休日の楽しみとして、
静岡県三島市のクレマチスの丘にある
イタリアンレストランマンジャペッシェに
みんなで食べに行き、そのときはじめて黒羽シェフの
優しい人柄と、センスの光る
料理を知りました。

黒羽シェフは、イタリア料理の新しい波を作った
マルケージで修行し、
さらにはエル・ブジでも修行して、
現在はマンジャペッシェで、
日高良実シェフとともに、
新鮮でおいしい魚を使った、
シンプルでさり気なく遊び心を感じさせる
おしゃれな料理を作っておられます。

僕たちはふたり並んで厨房に立って、
おたがい自分の料理を作り合って、
お客様のためのコースを
競い合って構成します。
イタリアン育ちの黒羽シェフと、
フレンチ育ちの僕は、
同じ食材を使っても発想やアイディアが違うので、
おたがい相手の発想と手のうちに、
驚いたり、おもしろがったりすることでしょう。

どうぞ、2月27日(水)、
エルブランシュへお越しください。
僕たちふたりの料理セッションは、
お客様に一夜限りの、極上の美食の夢を、
お届けします。



●2月27日 (水)
「僕らの料理セッション、特別コース」
料理代金 18000円 税・サ込み


●7時00分スタート (6時30分開場)
遅くとも10分前にはご来店ください。



なお、テーブル席は2名~4名様までで5テーブル、
カウンター席はおひとり様からで、5席。
計二十名様前後まで。
ご予約は先着順ですので、
どうぞ、お早めに。

お問い合わせ・ご予約 03-5439-4338(16時以降)
メール:reserve@aileblanche.jp
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by le-tomo | 2008-02-21 02:14 | 僕らの料理セッション

クレマチスの丘という芸術的な丘にあるレストランで。

静岡県の三島市にクレマチスの丘という4つの美術館をもつ、芸術の丘があります。
この丘にある4つの美術館のうち、もっとも大きいのがヴァンジ彫刻庭園美術館です。
イタリアの現代美術の代表的存在、ジュリアーノ・ヴァンジは人をテーマに、
人間の本質や奥行きを、彫刻によって表現し、
「アトリエで仕事をしているときが一番幸せ」だといっている76歳。
そんなフィレンツェ近郊で生まれた芸術家、
ヴァンジに捧げられた世界唯一の個人美術館が、
ここクレマチスの丘にある「ヴァンジ彫刻庭園美術館」です。

僕はスタッフの縁で、この美術館に併設しているイタリア料理のお店
「マンジャ・ペッシェ」の黒羽シェフと知り合い、
彼の優しい人柄と、センスの光る料理を知り、
何度か休日の楽しみとしてクレマチスの丘に足を運び、彼の料理を食べました。

黒羽シェフはイタリア料理の新しい波を作った マルケージで修行し、
さらにはエル・ブジでも修行して、
現在はマンジャペッシェで、 日高良実シェフとともに、
新鮮でおいしい魚を使った、 シンプルでさり気なく遊び心を感じさせる
おしゃれな料理を作っておられます。

彼の優しい人柄とセンスの光る料理は出会った人たちを魅了していきます。
イタリア料理育ちの黒羽シェフとフランス料理育ちの僕とでは、
同じ食材を使っても料理の発想もアイディアも違います。
そんなことに驚いたり関心したりしながら、彼との料理の話は尽きることがありません。

見晴らしのいい小高い丘の上にある、「マンジャ・ペッシェ」のテラスで、
黒羽シェフと2人でイタリアワインを飲みながら、
僕は黒羽さんに「フランスワインも美味しいですよ。」と言ってみたり、
魚介料理はやっぱりイタリアでしょう、という黒羽シェフに、
いえいえ、フランスにも美味しい魚介料理はたくさんありますよと、反論してみたり、
こんな、話を、時間を忘れてしているとき、僕はちょっと幸せを感じたりもします。

イタリアン育ちの黒羽シェフと、フレンチ育ちの僕、
2人の育った環境は違うけれど、
尽きることない料理の話は、なぜか同じ方向を向いているような気がします。
お客様の「美味しい」の一言を聞くために...。


「マンジャ・ペッシェ」
http://www.clematis-no-oka.co.jp/012_shisetsu/013_mangia/013_top.html
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by le-tomo | 2008-02-13 05:57 | 僕らの料理セッション
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東京のエルコーポレーションと福井のマイナーリバーズの2つの会社を経営し、エルブランシュのオーナーシェフをしています。


by le-tomo
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